澄んだ瞳で見ないで

 何を思ったか野郎三人で海に行って来ました。まあ、いいじゃないですか、たまには夏を感じたっていいじゃないですか・・・・

 余談はさておき、近くの海岸に今年入った後輩と海に行ったんですよ。2人の後輩は若いので楽しげに波と戯れてた訳で、かくいう俺はおっさんが如く、真夏の太陽の下で健康的にビールなんぞ飲みながら楽しんでいる後輩達をのんびり眺めて居ました。
 ふと、なにやら後ろから視線が感じられて振り返ってみると、40代前半の半袖シャツと紺色のスラックスのおっさんがジッとこちらを見ていました。「なんだこのおっさん・・・・」と一瞥をくれてやりました。そうすると「ここでなにやってるんですか?」と無意味な質問をしてきました。その質問に僕は至って普通に「海水浴ですけど、何か問題が?」と言うと、そのおっさん「こういうものなんですけど・・・・」と見慣れないけど見慣れた手帳、そこには生活安全科補導員の文字。それを俺に見せて、こう言いました「最近この辺りに不審な行動をしている人が出没するって通報を受けて見回りをしていたんですけど、2、3個質問良いですか?」と明らかに不審者に対するものの言い方で、話してきました。
 その瞬間、カチッときまして「補導員さん、なんで俺に職務質問をかけようと思ったんですか?」となるべく感情を表に出さないように質問返しをしてみると「いや、1人で来て海を眺めてるから・・・・」「あー・・・・じゃあここに何人が1人で来てますかね?何人が海を眺めてますかね?」「それは解らない、だからこうやって質問をしているんじゃないか。」「そうですか・・・・そうですよね・・・・俺みたいに1人で来て、1人で海を眺めているヤツは怪しいですよね・・・・じゃあここの海岸に来ている人たちは大体怪しいですよね?そう思いませんか?」「・・・・あァもういいです、失礼しました。」「そうですか・・・・2、3個の質問はいいんですか?」「・・・・・・失礼しました!」

 なんだ、失礼って解ってたんだ・・・・