落とした羽を辿ってきた道

 びっくりすることがおきた、あの母がカレーを作った。僕が幼少の頃、母に「どーして家ではカレーが出ないの?」と聞いたところ「あんなの日本人が食べるもんじゃありません!あんなの食べなくてももっとおいしいものあるでしょ!」と言い、母は絶対にカレー(というか洋食全般)を作らなかった。そのせいで僕はあまりカレーを食べない大人になった。
 しかし、母は今日カレーを作った、食べた。僕は愕然として母に「なんでカレー作ってんの?どーした、心境の変化か?それとも遂に呆けたか?」母「いやね、母さんね喰わず嫌いだったわ。カレーっておいしいね・・・・、あんた嫌い?」僕「・・・・・、いやあなたが絶対に作らないっていうから、ほとんど食べなくなってたよ。」母「ふーん、じゃあ食べるの?食べるなら早く食べてね、片づかないから。」僕「・・・・、はい・・・・。」
 母よ僕はあなたの喰わず嫌いのおかげで、だいぶ切ない思いをして26年間生きてきました。責任とってください・・・・。

 羽が・・・・羽が見えるよ・・・・。